通勤など日常でメインに使用するヘッドホンを数年ぶりに買い替えました。

新しいヘッドホンに求める条件

ここ数年愛用していたヘッドホンは、2009年か2010年に購入したSONY MDR-NC600Dというデジタルノイズキャンセリングヘッドホンです。そして、通勤時はほぼ毎日使用しているくらい現在でも完璧に動作しています。
使い始めてからかれこれ6~7年は経ち、その間もどんどんと新しい製品が誕生していたものの、個人的にNC600Dを超える機種に出会うことはありませんでした。

NC600Dは買い換える必要が無いほど素晴らしいと思っていますが、購入以後の使用頻度が高く単純に年数も経過しているので、ここ2年程は(特に外装の)劣化が著しいと感じるようになりました。

慣れ親しんだSONYの音

私がギターを始めて音楽により深く傾倒し始めた頃、我が家にはDHC-MD515というCDとMDが3枚ずつ入る画期的なコンポがありました。
DHC-MD515
(出典 : SONY

そして私の「音」に対する意識も、このコンポによって決定づけられました。そして約20年もの間、音楽を再生してきた機械やスピーカーの大半は基本的にハイコントラストでギラギラしてる感じ(悪く言えばドンシャリ系)がするSONY製だったこともあり、BOSEやJBLなど手が届く価格帯の民生品で素晴らしいサウンドを提供しているメーカーは多くありますが、やはり慣れたSONYの音で聴きたいと常日頃思います

今どき「NC」と「無線」は必須条件

NC600Dをあまりにも気に入っているため、SONY製だからと言ってホイホイとは買い換えることはありません。買い換えるとすれば、機能的に大きなステップを踏んでいるものが必要です。

少なくても通勤や旅行で電車や飛行機を利用する際、余計なノイズを除去してくれ、周囲に迷惑をかける事が少なくなるノイズキャンセリング機能は必須です。
NC600Dのノイズキャンセリング機能機能は、その前製品である世界初のデジタルノイズキャンセリング・ヘッドホンMDR-NC500Dのソレを踏襲し、基本的な機能は現行機種にも受け継がれています。
しかし、ノイズキャンセリング機能自体がまだ洗練されきっていない頃の製品であるNC600Dは、いわゆるホワイトノイズが大き目です。ヘッドホンを買い換えるとすれば、このホワイトノイズが極力小さい(気にならない)モノであって欲しいところです。

また、これまでのヘッドホン+1の機能として最も欲しいのは、無線接続です。あくまで普段遣い用のヘッドホンなので、音質を最大限高めると言うよりは、いかに気軽に使うことができるかの方が遥かに重要です。
無論、ワイヤレス接続をする事によって、例えば再生中の音声が途切れ途切れになったり、あまりにも遅延が発生するのであれば必要ありません。しかし、世の中にこれだけ無線接続の商品がある現在では、実用に耐えうるレベルになっていると期待しても良いでしょう。

そんな私にドンピシャな製品が出た

SONY MDR-1000X

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「SONY製・NC・無線」の3つの条件をクリアし、かつ私の購買意欲をソソるSONY MDR-1000Xが先月ようやく発売され、期待感MAX状態ですぐに購入してきました。

興奮冷めやらぬ中箱を開け、NC600Dほどでは無いにせよきちんとしたケースに収納された1000Xをいざ手に取るとやはり顔がニヤニヤしてしまいます。
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1000XとNC600D(外観・装着編)

1000Xで音を聴く前に、NC600Dとの比較をしてみます。パッと見て最も印象的だったのは、1000Xの大きさです。可搬性という点で大きさはかなり重要なポイントですが、まぁこのくらいの違いであれば実用上は特に違いは感じないかもしれません。

重量に気になるほどの差は無く、実際は1000Xの方が50g重いですが重量バランスが優れているのでむしろ軽く感じます。
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両者の違いは色々とありますが、細部の作り込みに関してはプラスチック感が強い1000Xより格段に高級感のあるNC600Dの勝ちでしょう。
ただ、1000Xは現行ラインナップの中ではフラッグシップレベルであり、最近のSONYデザインを感じさせてくれるので決して悪いという事ではありませんし、個人的にはこの色味がとても好きです。

大きさという点でもう1つ気になるのが、約1.5倍は厚みが違うように見える本体部(耳の部分)です。1000Xはタッチセンサーコントロールなど様々な機能が盛り込まれているので仕方ありませんが、NC600Dと同じ感覚で装着しているとガツガツぶつけそうですね。
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1000Xは充電端子がMicro-B USBとなり、スマートフォンなど多くの既存ガジェットと同じ端子となったため、専用端子だったNC600Dの時と比べて持ち運びが気楽になりました。

ボタンなどの操作系は、NC600Dより1000Xの方がより考えられているので、間違って電源がONになるといったご操作が無くなりました。
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何より大きな進化を感じたのは、ヘッドホンの装着感です。NC600Dはややゴツゴツしているように感じていましたが、1000Xは頭に吸い付くように柔らかくフィットしているように感じます。
日常的に行う歩行などの動作でも、NC600Dはたまに物理的にズレたりしていましたが、1000Xはずっとその場所に留まり続けてくれます。
かといって、1000Xを長時間装着していて不快に感じる事は無いので、本当に適切な設計及び部材の選定がされているのだと思います

1000X特有の機能としては、装着状態に合わせてノイズキャンセリング機能を最適化するパーソナルNCオプティマイザーが有り難いと感じました。
私は普段眼鏡を着用しているため、たった10~20秒程度でノイズキャンセリング機能が簡単に最適化される機能はフルに活用しています。

1000XとNC600D(音編)

両者に使用されている技術の違いは、1000Xに搭載される独自のDSEE HX機能による圧縮音源のアップスケーリング再生や独自のデジタルアンプS-Master HXを語るまでもなく、年数分の進化は入っています。
素人が明確に違いを指摘できるかと言えば、きちんと聴き比べない限りわからないと思います。しかし、少なくても有線接続のNC600Dに対して無線接続の1000Xが音質的に劣っていると感じる曲やシーンはありませんでした。それぞれに音の作りは異なりますが、どちらで聴いても不満を覚える事はありません。

ノイズキャンセリング機能に関しては、1000Xでは格段に向上を感じました。NC600Dで気になっていたホワイトノイズは全く気にならない程度となり、ノイズキャンセリングは必要な時にONにする特別な機能だった事を忘れさせてくれます。

秀逸すぎるタッチセンサーコントロールパネル

1000Xで最も進化を感じるポイントは、ハウジング部(右耳の外側)のタッチセンサーコントロールパネルによるスマートフォンなど音楽再生機器の操作です。
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(出典 : SONY

この機能により、いちいちスマートフォンを取り出したりスマートウォッチで操作する必要が無くなりました。
しかも、全てのタッチ操作の反応は物凄くすばやく反応してくれますし、音量の上下や曲の前後など頭の中のイメージと操作がマッチしているので、何も考えること無く直感的に操作する事が可能です。

また、右耳を手のひらで覆えば、クイックアテンションモードという外の音を取り込むモードに切り替わります。例えばコンビニの会計時や飛行機のアナウンスなど、一瞬だけ外の音を取り込みたいときには非常に便利な機能です。

総合的には「買い」でしょう

音楽を聴くだけであれば、音質という点でNC600Dから1000Xに買い換える意味はやや弱いものの、無線化など付加的機能を総合的に考慮すれば間違いなく「買い」な製品です。
現在発売されている無線ノイズキャンセリングヘッドホンの中では、1000Xは一番オススメできる製品だと思いますし、価格分以上の幸福感は得られます。

これまでヘッドホンを使って来なかった人が1000Xを手に入れれば、間違いなく音楽に触れる機械は飛躍的に増えるでしょう。ノイズキャンセリング機能を未経験の人が1000Xを手にすれば、なにかに入り込む不思議な感覚を覚えると思います。

私は1000Xを購入し、ヘッドホンの無線化ってこんなにも自由な気持ちになれるんだと驚きましたし、それだけで購入する価値はあったと思います。

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(Last Editing Date : 2019 / 05 / 27)