先日開催されたIRショーケースに行ってみました。
「IR」が話題となっている最も大きな理由は、要はこれまで日本には存在しなかったカジノが含まれているためです。
私はビジネスデーだった初日の9日のみでしたが、思っていた以上の賑わいに驚きました。2日間の合計で6,000人以上の人が訪れたようで、現段階では成功だと言えるでしょう。
報道によれば、苫小牧市は全国的に見ても有力な候補地とされており、IRショーケースにおいてもかなり大きなブースを構えていました。
今回のIRショーケースには、以下の7社のIR事業者が出展していました。
日本全体で「IR」の数は3つに限定される見通しである事から、事業者もその3つの席を巡って激しい攻防戦を巡って展開しています。
私にはそれぞれの事業者の優劣はわからないので評価はできませんし、それぞれに特色があるので、是非全社のホームページ(一部はこれからのようですが)を一度ご覧になってください。
マイケル・ジャクソンやレディ・ガガの物真似ショーや、下の写真の様にLEDでピカピカ光っているロボット的なのがかなり頻繁に表に出てきていました。また、関係者の数も圧倒的に多く、ほとんどの人がHard Rockのブースに集まっている時間帯もありました。
数年前から北海道において精力的に活動していると言うだけあって、苫小牧版IRの模型まで準備をしてきたのには驚きました。
個人的に訪れた国にあるHard Rock Cafeに行ってはピンバッチを買っている私にとって、非常に魅力的な建物の形(ギター!!)ですが、さすがにこれをこのまま再現する事は難しいでしょう。
また、ブース内ではマイケル・ジャクソンが着用したジャケットや北海道の形をしたギターを展示したり、来場者にピンバッチなどのお土産まで配っていました。
幸いに私は英語が喋れるので色々質問をしてみましたが、仮に苫小牧に整備が決まり、Hard Rockが事業者になったとしても、これがこのまま建つわけでは無いそうです。ただ、施設全体の基本的な考え方はかなり魅力的に聞こえました。
また、最近では北海道コンサドーレ札幌のオフィシャルパートナーに就任したり、第70回さっぽろ雪まつりに協賛したりと、最も目立った活動をしているのは間違いありません。
当記事の最初の方で挙げた、メリット(と考えられる項目)の「③ パチンコ等によるギャンブル依存症患者に有益に対策が施される(可能性)」というのは、各社のプレゼンテーションを聞いた結果です。
おそらくすでにパチンコや公営ギャンブル依存症患者は、(そもそも入場できるかは別として)カジノ依存症にもなると思います。
しかし、ほぼ全ての事業者がすでに完成されて効果がある依存症対策プログラムを持ち、実際にそれは今この瞬間も機能しています。
日本向けに改善は当然必要でしょうが、現時点で日本では依存症対策はほぼ皆無だと思うので、責任あるゲーミングとは何かを日本に広めてくれる先導的な役割が期待できるプログラムが導入される事は、むしろ歓迎するべきだと思います。
この点においては、Hard RockよりもCAESARSなど他の事業者がより印象深いプレゼンテーションをしていました。
もう1点、全ての事業者に共通している事は日本のコミュニティに積極的に馴染み、長期的に継続した投資を行う意思がある事です。また、「IR」が整備される地域の経済成長と開発、地域社会への参加についてもおおよそ共通したところでした。
加えて、Hard RockとRUSH STREETは苫小牧市での「IR」事業に力を入れている印象があり、双方とも直接話しをすると割と具体的な話を聞くことができました。
私の様にギャンブルを全くしない人にとって、「IR」はこれまで日本で楽しむことができなかった世界最高峰のエンターテイメントに触れる事ができる施設となるでしょう。
ですから、個人的にエンターテインメント企業でありつつも、カジノゲーミングも楽しめる事を全面に出しているHard Rockの姿勢は好感が持てました。
私が心配なのは、地理的に近い中国からカジノ目的で訪れる観光客が増大する事です。最近の中国人観光客のマナーはだいぶ良くなってきましたが、日本人からするとやはり迷惑だと感じる場面も少なからずあります。
欧米人や日本人だから良いというわけではありませんが、ギャンブル依存症が増える云々よりこちらの方が一般市民にとっての影響は大きいのではないでしょうか。
また、現在時点において北海道知事が具体的な行動を起こしておらず、おそらく今年の選挙が終わるまでは態度を明確にしないでしょうから、選挙結果や政治情勢によってはそもそも北海道へは「IR」が来ない可能性もあるのではないかと思います。
話題の「IR」とは
ここ最近各種報道などで徐々に話題となる事が多くなってきた「IR」ですが、これまで日本に無かったコンセプトだけにイマイチよくわからないというのが正直なところです。そこで、「IR」について記事化し、自分自身も頭の整理をしようと思いました。「IR」の意味
「IR」は、Integrated Resortの頭文字を取ったもので、日本においては統合型リゾートと訳されていますが、要は国際規模のホテルや会議・コンベンション施設、レストラン、バー、ショッピング施設、そしてカジノなど様々な施設が集まった複合的な施設です。「IR」が話題となっている最も大きな理由は、要はこれまで日本には存在しなかったカジノが含まれているためです。
「IR」のこれまで
2002年に自民党を中心とした超党派の議員連盟が発足し、2016年にIR推進法(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)が成立し、2018年にIR実施法(特定複合観光施設区域整備法(IR整備法、IR実施法))が成立しました。「IR」のメリット・デメリット
「IR」は世界にとってはよく知られたコンセプトですが、日本では未知のモノであるため、確実なメリット・デメリットを語ることはできません。下記に列挙するモノはあくまで想像でしかありませんが、実際日本にできた時はどういった影響があるのでしょうか。- メリット(と考えられる項目)
① 国内外からの観光客の増大
② 整備地域の雇用促進及び経済波及効果
③ パチンコ等によるギャンブル依存症患者に有益に対策が施される(可能性)
④ 世界最高水準のサービスを享受できる(可能性)
⑤ 国際的なエンターテイメントを楽しめる(可能性) - デメリット(と考えられる項目)
① ギャンブル依存症患者が増える(可能性)
② 治安が悪化する(可能性)
③ コケた場合には無駄な投資となる(可能性)
ラスベガスに行った時の思い出
私自身は人生で一度もパチンコや公営ギャンブルをした事が無く、カジノでのゲーミング(ギャンブル)に対しても興味が0ですが、2010年にラスベガスに数日滞在した事があります。
当時北米に住んでいた私は、ラスベガスにあるIRの1つであるMirageで開催されていたビートルズとシルク・ドゥ・ソレイユが手を組んだLoveという作品を鑑賞しに行きました。
少なくても私が訪れていた間のラスベガスは、夜中に1人で外を歩いても日本と変わりなく過ごせるとてもピースフルな場所でした。
むしろ、道端にいた警察官からは「IR」がある地域は治安が良いため安全だが、決してこのエリアからは出ないように注意してくれと言われました。ラスベガスの場合は、「IR」がある地域が最もコントロールされており安全なんだそうです。
【注】
ラスベガスには本当に良い思い出が多く、再び訪れたい観光地トップ5には入る場所です。当時は「IR」という言葉すら知らなかったわけですが、「IR」においてはカジノには一切足を踏み入れずとも楽しめる事は身をもって体験しています。
当時北米に住んでいた私は、ラスベガスにあるIRの1つであるMirageで開催されていたビートルズとシルク・ドゥ・ソレイユが手を組んだLoveという作品を鑑賞しに行きました。
少なくても私が訪れていた間のラスベガスは、夜中に1人で外を歩いても日本と変わりなく過ごせるとてもピースフルな場所でした。
むしろ、道端にいた警察官からは「IR」がある地域は治安が良いため安全だが、決してこのエリアからは出ないように注意してくれと言われました。ラスベガスの場合は、「IR」がある地域が最もコントロールされており安全なんだそうです。
【注】
行政的には、ラスベガス市は現在ダウンタウンと呼ばれる地域一帯のみで、当記事でラスベガスとして記載しているのはラスベガス市を含むクラーク郡となります。
ラスベガスには本当に良い思い出が多く、再び訪れたい観光地トップ5には入る場所です。当時は「IR」という言葉すら知らなかったわけですが、「IR」においてはカジノには一切足を踏み入れずとも楽しめる事は身をもって体験しています。では、日本版「IR」はどうなるのか
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北海道IRショーケースに参加してみた
日本版「IR」の将来像を肌で感じたいと思い、2019年1月9・10日の2日間に渡って開催された第1回北海道IRショーケースに参加してきました。私はビジネスデーだった初日の9日のみでしたが、思っていた以上の賑わいに驚きました。2日間の合計で6,000人以上の人が訪れたようで、現段階では成功だと言えるでしょう。
出店していた事業者
北海道自体がまだ正式に手を挙げていない状況ではあるものの、道内では苫小牧市・釧路市・留寿都村の3つの自治体が誘致活動を積極的に行っています。報道によれば、苫小牧市は全国的に見ても有力な候補地とされており、IRショーケースにおいてもかなり大きなブースを構えていました。
今回のIRショーケースには、以下の7社のIR事業者が出展していました。
日本全体で「IR」の数は3つに限定される見通しである事から、事業者もその3つの席を巡って激しい攻防戦を巡って展開しています。
私にはそれぞれの事業者の優劣はわからないので評価はできませんし、それぞれに特色があるので、是非全社のホームページ(一部はこれからのようですが)を一度ご覧になってください。
最も具体的な提示をしていたHard Rock
道内の候補地として頭一つ抜け出した感のある苫小牧市に進出を目論むIR事業者の中で、今回最も力を入れていたのは明らかにHard Rockでした。マイケル・ジャクソンやレディ・ガガの物真似ショーや、下の写真の様にLEDでピカピカ光っているロボット的なのがかなり頻繁に表に出てきていました。また、関係者の数も圧倒的に多く、ほとんどの人がHard Rockのブースに集まっている時間帯もありました。
数年前から北海道において精力的に活動していると言うだけあって、苫小牧版IRの模型まで準備をしてきたのには驚きました。
個人的に訪れた国にあるHard Rock Cafeに行ってはピンバッチを買っている私にとって、非常に魅力的な建物の形(ギター!!)ですが、さすがにこれをこのまま再現する事は難しいでしょう。
また、ブース内ではマイケル・ジャクソンが着用したジャケットや北海道の形をしたギターを展示したり、来場者にピンバッチなどのお土産まで配っていました。
幸いに私は英語が喋れるので色々質問をしてみましたが、仮に苫小牧に整備が決まり、Hard Rockが事業者になったとしても、これがこのまま建つわけでは無いそうです。ただ、施設全体の基本的な考え方はかなり魅力的に聞こえました。
また、最近では北海道コンサドーレ札幌のオフィシャルパートナーに就任したり、第70回さっぽろ雪まつりに協賛したりと、最も目立った活動をしているのは間違いありません。
各社のプレゼンを聞いて感じたこと等
ビジネスデーだけあって、当日は各事業者のプレゼンテーションを聞くことができ、各社持ち時間30分の中で、全ての事業者が強調していたのがギャンブル依存症対策でした。当記事の最初の方で挙げた、メリット(と考えられる項目)の「③ パチンコ等によるギャンブル依存症患者に有益に対策が施される(可能性)」というのは、各社のプレゼンテーションを聞いた結果です。
おそらくすでにパチンコや公営ギャンブル依存症患者は、(そもそも入場できるかは別として)カジノ依存症にもなると思います。
しかし、ほぼ全ての事業者がすでに完成されて効果がある依存症対策プログラムを持ち、実際にそれは今この瞬間も機能しています。
日本向けに改善は当然必要でしょうが、現時点で日本では依存症対策はほぼ皆無だと思うので、責任あるゲーミングとは何かを日本に広めてくれる先導的な役割が期待できるプログラムが導入される事は、むしろ歓迎するべきだと思います。
この点においては、Hard RockよりもCAESARSなど他の事業者がより印象深いプレゼンテーションをしていました。
もう1点、全ての事業者に共通している事は日本のコミュニティに積極的に馴染み、長期的に継続した投資を行う意思がある事です。また、「IR」が整備される地域の経済成長と開発、地域社会への参加についてもおおよそ共通したところでした。
加えて、Hard RockとRUSH STREETは苫小牧市での「IR」事業に力を入れている印象があり、双方とも直接話しをすると割と具体的な話を聞くことができました。
私の様にギャンブルを全くしない人にとって、「IR」はこれまで日本で楽しむことができなかった世界最高峰のエンターテイメントに触れる事ができる施設となるでしょう。
ですから、個人的にエンターテインメント企業でありつつも、カジノゲーミングも楽しめる事を全面に出しているHard Rockの姿勢は好感が持てました。
私が心配なのは、地理的に近い中国からカジノ目的で訪れる観光客が増大する事です。最近の中国人観光客のマナーはだいぶ良くなってきましたが、日本人からするとやはり迷惑だと感じる場面も少なからずあります。
欧米人や日本人だから良いというわけではありませんが、ギャンブル依存症が増える云々よりこちらの方が一般市民にとっての影響は大きいのではないでしょうか。
また、現在時点において北海道知事が具体的な行動を起こしておらず、おそらく今年の選挙が終わるまでは態度を明確にしないでしょうから、選挙結果や政治情勢によってはそもそも北海道へは「IR」が来ない可能性もあるのではないかと思います。