市民生活に直結する除排雪作業。いつも本当にありがとうございます。

雪が降りすぎる札幌市

北海道民でも知らない人がいる事実の1つが、札幌市は人口100万人以上の大都市の中で降雪量が世界一(人口約196万人、降雪量600cm弱)である事です。
例えば、私が訪れた事があるカナダのモントリオールは、人口約160万人で降雪量が200cm強。雪が多いイメージのロシアにあるサンクトペテルブルクは、人口約530万人で降雪量が300cm程度だそうです。

それだけ雪が降る街ですから、当然除雪等に関わる数字もとても大きくなっています。
  • 車道除雪延長 : 5,435km(世界一)
  • 歩道除雪延長 : 3,033km(世界一)
  • 計画搬入量 : 1,963万m3(世界一)
  • 年間除雪予算 : 207億円(世界一)
このように毎年絶対に溶けて無くなる雪に対して、大量の人員と予算をかけて挑んでいるのが北海道にある大都市札幌です。

絶対に文句を言われる除排雪作業

私自身は除排雪作業に関連した仕事に従事しているわけではありませんが、聞くところによると除排雪作業に関しては毎年必ず少なくない苦情が寄せられるそうです。
中には相当キツイ言い方をされている業者の方もいるそうですが、これは文句を言う市民の民度の低さや除排雪作業に対する住民理解が進んでいない事が原因である事がほとんどだと思います。

確かに車の出入口に大量に雪を放置されたり、いつまでも排雪されず2車線道路が1車線以下になって事故が発生しかけたり、すぐ側まで除雪されているのに家の前に来なかったり、大きな音で小さな子どもが起きたりと色々ありますが、全体的に見ればグッと堪える必要があるのではないでしょうか。

なにせ降雪期間の我々の生活の全ては、除排雪作業にかかっていると言っても過言ではないからです。

除排雪作業の流れ

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(出典 : 札幌市

除排雪作業に対して、我々市民は最低限正しい知識を持つことが必要だと思います。一口に除排雪作業と言っても、その仕事内容は上図と下記の様に多岐に渡ります。
  • 新雪除雪(車道): 路面上の雪を道路脇に寄せる作業
  • 路面整正(車道): 路面の凹凸を削り平らにする作業
  • 拡幅除雪(車道): 道路脇の雪を積み上げ、車線を拡幅する作業
  • 歩道除雪 : 歩道部の雪を車道側に積み上げる作業
  • 運搬排雪 : 道路脇の雪をトラックで雪たい積場等へ運ぶ作業
  • 凍結路面対策 : 凍結防止剤等を道路に散布する作業
大まかには、雪の多い12月~翌3月まで「新雪除雪▶路面整正▶拡幅除雪」の繰り返しで、道路脇に雪山が出来る1月半ば頃から順次運搬排雪が開始されます。

新雪除雪

近年はドカ雪と呼ばれる短時間に大量に雪が降る事が多くなってきましたが、そんな時にいち早く交通を確保するために行われるのが新雪除雪です。
新雪除雪では、まず主要な幹線道路の交通を確保する事が最優先され、次に住宅街など生活道路には必要最低限(3.2m程度)の幅で除雪が入ります。

除雪作業は、よほどのことが無い限り交通に支障が出ない午前0時~6時の間に行われます。6時間の間に約5,435kmの除雪を完了する為には、かなりの妥協が生まれ、それが不満の原因の種ともなっています。
  • 朝方に大雪が降った場合、新雪除雪が入り切らない
  • 吹雪などで視界が限られる場合、新雪除雪が入り切らない
  • 路上駐車により除雪車が入れない
  • 玄関前など細かい部分まで気を使っている時間は無い
苦情の中でも大きなウエイトを占める「玄関前に雪を置かれた問題」ですが、そもそも新雪除雪は市と住民で役割分担をする事で機能する前提となっています。
新雪除雪は住民1人1人ためのサービスというより、札幌市全体を街として機能不全にさせない為の除雪と考えた方が良いでしょう。もし1人1人の為にもっと充実した除雪を願うならば、その分1人1人の税負担をもっと大きくしなければならないと思います。

路面整正

新雪除雪と目的が異なり、随時実施される路面整正は路面の凹凸を解消する細かい作業(作業時間は新雪除雪の約3倍)となり、路面から削られた雪は固くて重たいため、玄関口などには極力置かないようになっています。

「玄関前に雪を置かれた問題」の多くは、実は新雪除雪ではなくこの路面整正ではないかと思います。私も固くて思い雪(というか氷)を駐車場出入口の前に残され、車高の高い四駆じゃなければ困った事になっていた事はかなり多く経験しています。
仮に力が弱い女性や高齢者が、路面整正で残された雪の塊を自力で排除しなければならないとすれば、それは相当な負担になると思います。

ただ、路面整正の際にも新雪除雪と同様に排雪はされない事は、我々市民も理解しなければなりません。つまり、削った雪はどこかに置いておく必要がありますが、間口が多い道路では中々置き場所もありません。

正しい住民理解と作業の丁寧さの両方が、この路面整正には必要だと思います。

歩道除雪

歩道除雪は全ての歩道が対象ではなく、有効幅員が2m以上でかつ雪を積んでおける余裕がある歩道に限定されています。また、当然ですが使用者が限定される住宅街よりは、駅や公共施設の歩行者が多いと想定される歩道が最優先されます。

基本的には車道の新設除雪と同様に10cm以上の降雪が1つの出動基準で、同様に午前0時~6時までの深夜帯に作業が行われますが、個人的な感覚だと車道よりはかなり後になって歩道除雪が開始されるので主要な所以外はされていない事も多くあります。

これは車の通行と比較して、歩きの場合は多少の障害があってもあまり大きな問題にならないからだと思います。高齢者や小さな子どもにとっては大変な話ですが、これも札幌市全体を考えた場合はある程仕方ない話ではあります。

拡幅除雪

新雪除雪や歩道除雪が繰り返されると、道路脇に積まれた雪山が横に広がり道路幅が段々狭くなっていきます。道路幅が狭くなると様々な問題が起こってくる事から、大きく1月半ばと2月半ばに道路幅を広げる拡幅除雪が入ります

拡幅除雪は、横に広がった雪山を立てに積んでいく作業なので、一時的に雪山の高さがかなり高くなります。そのため、交通事故の発生要因となりますが、これは市民1人1人が気をつけていくしかありません。

排雪

拡幅除雪により雪山がこれ以上積めないほど高くなると入るのが、排雪です。除雪に関しては生活道路まで入ってくれますが、排雪は原則として幹線道路(道路幅10m以上で交通量が多い道路)と一部の通学路のみに限定されています。その代わりに地域として利用できる排雪支援制度があります。計画では年に1回排雪とされていますが、なんとなく毎年2回以上入っている気がします。

よく誤解している人がいますが、「除雪=排雪」ではありません。除雪が入ったのに雪山ができただけだという話も聞きまずか、それは排雪に関しての理解が進んでいない証拠だと思います。
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(出典 : 札幌市

また、作業一組あたり1日10kmできる除雪に比べ、排雪は1日2kmしかできません。作業に関わる機械の種類が多く、それに伴って作業員の数がかなり多くなるため、排雪の費用は除雪の80倍(1kmあたり240万円)にもなるそうです(参考)。
事実、計画では年に1度となっている排雪ですが、平成30年度予算の約207億円のうち49%がその排雪に費やされています

難しい雪たい積場の確保

排雪された雪は消えて無くなるわけではなく、雪たい積場に運ばれます。豊平川沿いや札幌市郊外にある未利用地など、市内全域で2,608万m3も確保されている雪たい積場ですが、実は過去最大となった平成24年度の搬入量は2,524万m3とそれほど余裕があるわけではありません。

仮に金銭的な面がクリアになっても土地には限りがある事から、排雪には絶対に限りがあります。そのため、幹線道路においても完全に排雪されるわけではなく、車の通行に支障がなく、見通しが良い高さ程度になるまでしか排雪されません。
但し、札幌市中心部など特定のエリアにおいては、排雪の回数を意図的に増やし、通行に支障が無い様な対策をしているそうです。

一軒家に住んでいる方などに多く見られるのが、自宅敷地内の雪を堂々と道路上に出す行為です。こういった行為は排雪量の増加を生み、費用負担や雪たい積場の容量問題を引き起こすため、自己の利益だけではなくもっと大きな目で物事を見て欲しいといつも思います。



より詳細な情報は、札幌市冬のみちづくりプラン2018に記載されているので、是非ご一読いただく事をオススメします。
好んで雪国に住んでいるのですから、我々の生活を支えてくれている除排雪作業には一定の理解をしてあげる必要があります。確かに不満は数多いですが、現状を正しく認識する事によってかなり部分は解消できると思います。
最後に、オペやダンプが少なくなり、年々作業環境も厳しくなっていく中でも作業員の皆さんが頑張ってくれているおかげで、冬季間でも札幌市で暮らしていくことができます。いつも深夜に作業してくれている作業員の方々に御礼を申し上げます。